皆さんこんばんは!
今回は私が描いたイラスト「Hungry Icicle Sword」について解説させて頂きたいと思います!
是非ご覧になって頂けると幸いです。
では、まずは完成した絵をお見せします!
★「Hungry Icicle Sword」
このキャラクターは、私の創作「あうとら」に登場するプシュケちゃんです!
彼女のクールさと可愛さ、さらに氷特有の透明感や美しさも引き出せるよう努力しました。また、全体の彩度を低くしたり描く情報量のコントロールをするなど、最近のトレンドも考慮しながら手順を一新しました!
現状自分に出来ることはやり尽くしたので、出来栄えはかなり気に入っています!
★ラフ
実はこのイラストのラフは2年以上前に描いたものでした。
ふと休日に突然思い出して、この機会に清書したいなと描き始めました。
キャラクターの昔と今の衣装デザインの違いはあまり問題ないのですが、絵柄が異なっていたり、ライティング(影や光の向きなど)が全く分からないなど問題点が多くありました。
しかしベースの構図や体がしっかりしているので、今の描き方を意識しつつ線画を整えていきます。
ちなみに私が描く方法ですが、
大ラフ→カラーラフ→線画→塗り(水彩)→加工 という手順が一番多いです。
★線画
こちらが先ほどのラフを修正した線画となります。
やはり今の絵柄で描くと、元絵とは全く異なるものになりますね。
私はいつも細いペン(A4サイズのキャンパスだと4~6px)で線画を描いています。この時に一発で強弱がしっかりした線が引ければよいのですが、まだまだ技量が足りないため、ある程度一定で描いた後に線を薄くしたり手作業で墨溜まりを作っています。
また個人的にですが、少し赤みがかった線の色の方が好みのため、いつも暗めの赤茶色を線のベースに使用しています。もちろん色を塗ると違和感が出てくる個所もあるため、色塗りを終えた後にもう一度線の色を修正します。
そして線画を引いた後に、必ず単色でベタ塗りをしてシルエットの確認を行います。
この作業を行うことでネガティブスペース(空いているスペース)の確認ができ、ネガティブスペースの形がイマイチの場合は修正します。
かなり気合を入れている絵の場合は、ここで一度作業を終了して目のリセットを行い、数時間後か翌日にもう一度確認を行います。
そこでも修正がなかった場合は塗りの作業に移ります。
★塗り①
私は今まで、個別にベース塗りしたものをそれぞれレイヤーごとに影つけをしていましたが、今回は影やコントラスト差に迫力を持たせるために、初めに全体レイヤーの上から乗算で影を付けました(左)。
こうすることで、より明確な完成時のライティングが想像できるかなと思います。さらに単色で一気に影を付けていくので、時間の短縮にもつながりました。
私はまだ不慣れなためベース塗りを行いましたが、先ほどの線画+単色塗りにこの作業を行うことで、グリザイユ画法に近いことが出来るのではないかと思いました。
そしてその後に肌と目の色調だけを変え、右のようになりました。このようにベースの色や質感に合わせて後で色を変えることで、うまくなじませることが出来ます。
さらに今回は「写実よりも見栄えを優先した影つけ」をとても意識しました。
例えば、本来肩には髪の陰がここまで付きませんが、顔周りの情報量を増やすために少し大袈裟につけました。また、太ももや胸などは見せたい箇所だったので、あえて光を当てて目が行くようにしました。
このように、影を付ける時の思い切りとアイデアはとても重要です。
★塗り②
そのままキャラの色塗りを進めていきますが、今回は色を塗る前にtwitterや自分の資料フォルダで「いい!」と思うものや投稿数が多いものを探して、その塗りがどういうものか考えました。
すると最近の傾向、または自分の改善点として下記の2つが当てはまるのかなと思いました。
・彩度は適度に下げる
・影やハイライトを重ねすぎない
それぞれについて少し具体的に話していきます
・彩度は適度に下げる
これは、影に使う色の彩度をあまり高くしないということです。
彩度を低くすることで、本当に目立たせたい箇所に視線誘導することが出来るのではないかなと思います。しかし単に全部彩度を下げるのではなく、光と影の境界部分に赤いオーバーレイをかけることで彩度を高くする&目立たせてやるなど、見栄えをよくするための高い彩度も必要になります。
今回の私のイラストでは、今までのものと比べて肌の影色や全体の色数を落として描きました。
・影やハイライトを重ねすぎない
これは初めに全体につけた影(1影)や2影以降に、多くの色数を置いたり影やハイライトを重ね過ぎないということです。
今まで私は情報量が増えた方がいいかなと考えていたため、全体をまんべんなく塗り込んでいました。しかし時間がかかるうえ、水彩塗りであるはずなのに少しくどい雰囲気になっていたかもしれません。
水彩の資料イラストを見てみましたが、影を何度も重ねていることは少なく、大体が1影~2影済んでいるように感じられました。
そのため今回は1影を付けた服の部分や髪にはほとんど影やハイライトを入れていません。
これら上記2つは見栄えの向上だけでなくイラストの時短にもなったので、是非試してみてください!
その他にも、目の彩度とコントラスト差を高くする、髪の束は細かくするなど様々なことを意識して塗り込みました。
★仕上げ
そして最後に氷と背景を描いていきます。
氷は実際の写真を見ながら、イラスト的表現も加えて描いていきました。
よーく見ると、スカートや太ももが屈折して見えています(たぶん!!)。
こういった資料を参考にしながら描く場合は、だいたいいつも1つのオブジェクト辺り4~8枚ほど用意しています。
そしてキャラクターの顔に視線が行くように、斜めの線を背景に入れました。こうすることで顔への視線誘導になりますし、氷の剣やキャラの重心とクロスになるので、見栄えもよくなります。
普段はこういったエフェクトはもう少し彩度を高めに設定するのですが、今回はキャラの彩度を低く描いたこともあり、エフェクトも全体的に低めに描きました。
そしてキャラを見やすいように、キャラの後ろを少し白くしたり、トーンカーブやグローをかければ完成!
所要時間は ラフ(4h)+線画(5h)+塗り(7h)+背景と氷(2h)=18h です!
ここまで長々とご覧になって頂いてありがとうございました!